先日、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関する記事を執筆させていただきましたが、他記事以上に様々な方から反応をいただきましたので、本日は第2弾をお届けします。
前回の記事はこちら→ 「今押さえておきたいDXのキホン」
2020年8月に、建設業界のDXに関するグローバル調査結果レポートが発表されています。(オートデスク(株)が、調査会社 International Data Corporation(IDC/米)へ依頼して実施されたもの)
このレポートは、欧米及びアジア太平洋地域の大手ゼネコンで働く 835 社(内、日本50 社)の建設のプロを対象に、建設業界における DX の成熟度と課題について評価を行ったものですが、本稿では、そのレポートに記載の情報を抜粋してお届けします。
建設プロジェクトを巡って、信頼できる唯一の情報源に基づいて行われる自動化や的確な判断は、ワークフローの改善、コストの削減、資源の管理の徹底、工期の短縮に繋がる。
クラウドベースのソフトウェア及びモバイルアプリによって、設計から建設・検査に至るまで、すべてのステークホルダー(利害関係者)間におけるコラボレーションが容易になり、報告・文書記録・品質保証・管理が改善される。
現場での予備的な安全対策とリスクマネジメント及び現場以外での製造加工に加え、予防的メンテナンスにもデジタル技術を利用することができる。
時間的な制約やコストの問題を解決する、現場以外でのプレハブ部材の製造及びモジュール構造化へのニーズが高まっている。
DX の成熟度を 次の5 段階に分けてみた。
現状が上記5つの内どれに当てはまるかの評価を調査した結果、日本においては、初期段階(個人依存・限定的導入)42 %、中期段階(標準基盤化)34 %、成熟段階(定量的管理・継続的革新)24 %の結果となり、成熟段階の割合はアジア太平洋地域で最も高く、ドイツ・米国と並んで世界でも上位国の 1 つであることがわかった。
一方、4 割以上の建設会社は、個人依存・限定的導入な初期段階に留まっている。
DXの加速のために、世界中の建設会社はDXロードマップの作成に取り組む必要があるが、日本では12%の建設会社が、既にDXロードマップが事業ロードマップでもあると回答。今後12~24か月以内にロードマップを確立する計画であると回答した企業は28%、 0~12か月以内と回答した企業は16%である。
3分の1の企業が、年間粗利益の3~5%をテクノロジーに支出している。この支出を増やすことで、日本の建設業界に引き続き新たなイノベーションを起こすことが可能になる。
建設会社が DX を進める上での課題については、世界全体では「デジタルへの投資に関する戦略的ロードマップの作成」(46 %)の回答が最も多く挙げられ、次いで「適正な組織構造の構築」(42 %)、「デジタル化の成果を測る 指標・基準の確立」(37 %)、「デジタルの組織的能力及びスキルの開発」(36 %)、「デジタルプロジェクトの全社的な統合」(29 %)の順に多くなっている。これら 5 つの課題を解消することが DX の成熟度を高め、市場における競争優位性の獲得に繋がる。
日本においては、「デジタル化の成果を測る指標・基準の確立」(60 %)、「デジタルプロジェクトの全社的な統合」(56 %)の回答が突出して多く、他国と比べて大きな障壁になっていると考えられる。
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担い手の減少が叫ばれる建設業。
DXは、大手企業が取り組むべき課題と思われるかもしれませんが、むしろ中小企業こそ、この時流に乗り、技術を生かすことでさらなる進展の可能性が見いだせると考えます。
デジタルによる、働き方・安全・ひいては人生のトランスフォーメーションを巻き起こせるよう、私MEGANEも勉強を精進してまいる所存です。
ちなみに、今回ご紹介したレポートは以下ウェブサイトからダウンロードできます。
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AUTODESK社「デジタルトランスフォーメーションで 切り開く建設業の未来」
(画像:上記で紹介したレポートの表紙)
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