先日「福澤心訓」というものを目にしました。
興味深いものであったので、紹介させていただきます。
一、世の中で一番楽しく立派な事は、一生涯を貫く仕事を持つという事です。
一、世の中で一番みじめな事は、人間として教養のない事です。
一、世の中で一番さびしい事は、する仕事のない事です。
一、世の中で一番みにくい事は、他人の生活をうらやむ事です。
一、世の中で一番尊い事は、人の為に奉仕して決して恩にきせない事です。
一、世の中で一番美しい事は、全ての物に愛情を持つ事です。
一、世の中で一番悲しい事は、うそをつく事です。
読んだとき、さすが福澤先生だと感銘を受けました。
しかし、調べてみるとこれは偽作らしいのです。
騙された気がして落胆したのと同時に、誰が何の目的で書いたのだろうという疑問も湧いてきました。
福澤諭吉の研究家である富田正文氏はこのように言っています。
以下「福沢諭吉全集」より
書いてある七條はいずれも立派な訓えで誠に恥ずかしからぬ文言であるが、文體は明らかに現代文で、福澤の明治時代の文章とはハッキリ違っている。もちろん、福澤の書いたものではないし、福澤の文章の中から拾い出したという形跡も見當らない。
なぜこの作者が福澤諭吉の名を借りたのかは分かりませんが、やはり嘘をつくのは悲しいことです。
できることなら、どんな事情があっても嘘偽りなく正直にいたいものです。
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