サヴォア邸、フランス、1931
Villa Savoy ,France,1931
建築の教科書に必ずでてくる名作中の名作、サヴォア邸です。
近代建築三大巨匠の一人、ル・コルビュジェの代表作です。
当時ヨーロッパでは地に根を生やしたようなどっしりとした建物が主流で、その上に豪勢な装飾を施したりなんかして、優雅な建築が賞賛される時代でした。
しかし産業革命以降人々の価値観が少しずつ変化し始め、建築界にも、コンクリート、ガラス、鉄といった近代素材を有効活用し、今までにない新しい建築を創造しようという流れが生まれていきます。
そんな新時代到来のきっかけを作ったのがこのサヴォア邸だと言ってもいいでしょう。
この建築を取り上げた時、必ず言及されるのが「近代建築5原則」ですが、今日はその話は割愛してアーティストでもあったコルビュジェがこの建築に込めたユニークな点をいくつか紹介します。
まだバリアフリーなんて言葉が使われる以前に、彼は住戸内にスロープを設けていたりします。
勾配がかなりきついので高齢者や車いすの為のスロープではないことは明らかで、おそらく違うフロアに移動する際、階段とは違う視界の開け方を演出したかったのでしょう。
寝室の横にはカーテンで区切った浴室を設けてあります。
そこにある浴槽の隣には寝そべると体にフィットしそうな曲線のベンチがあるのですが、人間の身体寸法に興味のあったコルビュジェらしい発想です。
「近代建築5原則」にも上げられる空中庭園は水平窓のある壁で囲ってあります。
内部のような外部空間は、体験者に不思議で新しい感覚を味あわせてくれます。
竣工から80年以上経つ建物ですが、その新しさ、センスのよさはいまだ衰えを知らないサヴォア邸。
建築の原点を探る時、この建物を無視する事はできません。
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